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そば湯を飲む理由とは?そば湯の飲み方・注意点やそば湯の歴史を解説

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有喜屋 三代目店主

三嶋吉晴

有喜屋(うきや)三代目店主。有喜屋は1929年 京都先斗町に創業した本格手打ちそばと蕎麦料理を提供するそば屋です。 最年少で京都府優秀技能者表彰「京都府の現代の名工」を受彰。 手打そば職人としては全国で初となる「卓越技能章」を厚生労働大臣より受彰。 天皇陛下から授与される褒章である、「黄綬褒章」を拝受。

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そば湯とはそばを茹でたお湯のことです。少しとろみのあるそば湯にはそばの香りや栄養が溶け出ており、そばを食べた後には必ず飲むようにしているという方も多いことでしょう。しかし、そば湯を飲む習慣が広まったのは江戸時代であり、それ以前にはそば湯は飲まれていませんでした。

そこで今回は、そばを食べた後には欠かせないそば湯について、そば湯を飲む理由とあわせて含まれる栄養や飲み方、アレンジ方法、飲む際の注意点をご紹介します。

1. なぜそば湯を飲むようになったのか|そば湯の歴史と文化

そば湯を飲むことは栄養補給や消化を助ける効果があり、さらにそばつゆの風味を最後まで楽しめることから、広く親しまれている食習慣です。

このそば湯を飲む文化がいつ始まったのかは定かではありませんが、広く浸透したのは江戸時代中期とされています。諸説ありますが、その発祥は信州といわれており、そばのゆで汁に溶け込んだ風味や栄養を活かすため、また寒い時期に体を温めるために飲まれていました。

この風習が江戸に伝わったのは、信州を訪れた旅人が持ち帰ったことがきっかけとされ、「信濃風」として提供されたのが始まりといわれています。1697年に出版された『本朝食鑑』にも「そば湯を飲まないと病にかかる」「そば湯を飲めば食あたりしない」などと記されており、当時から健康効果が認識されていたことがわかります。江戸で広まったそば湯の文化は全国へと波及し、現在ではそばを楽しむうえで欠かせないものとなっています。

2. そば湯に含まれる栄養

そば湯には、健康効果だけでなく美容やダイエットにも役立つ栄養がたっぷり含まれています。

  • 毛細血管を強くする|ルチン
  • 健康維持に不可欠|アミノ酸
  • 高い健康と美容効果|ビタミンB群
  • 強い体を作る|ミネラル
  • お通じを改善|食物繊維
  • 健康的な体を作る|たんぱく質

(1)毛細血管を強くする|ルチン

ルチンは血管を強くして血流を良くする作用や抗酸化作用、抗炎症作用がある成分です。高血圧などの生活習慣病予防やアレルギー症状の緩和等の効果が期待できます。ルチンは水溶性のため、そば湯に多く含まれています。

(2)健康維持に不可欠|アミノ酸

そば湯はたんぱく質の合成やカルシウムの吸収、免疫機能の強化にはたらくアミノ酸も豊富に含まれています。中でも、筋肉や皮膚の健康を保つリジン、筋肉量の維持・増加に働くロイシンやバリン、セロトニンの合成に関わり心身のバランスを整えるトリプトファンなど、体内で合成できない必須アミノ酸が豊富です。

(3)高い健康と美容効果|ビタミンB群

炭水化物の代謝をサポートするビタミンB1(チアミン)、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンB2(リボフラビン)、神経機能や免疫機能を助けるビタミンB6(ピリドキシン)、貧血予防に役立つビタミンB9(葉酸)など健康や美容に欠かせない成分が豊富です。

(4)強い体を作る|ミネラル

貧血予防に役立つ鉄分、免疫機能を強化し肌や髪の健康を保つ亜鉛、筋肉や神経の健康をサポートするマグネシウム、骨や歯の健康を保つカルシウム、血圧の調整に役立つカリウムなど健康維持に不可欠な成分も豊富です。

(5)お通じを改善|食物繊維

そば湯には、便通の改善・予防に役立つ不溶性食物繊維、血糖値の上昇を抑制しコレステロール値を下げる水溶性食物繊維の2つの食物繊維が含まれています。食物繊維は、免疫機能に大きく関わる腸の健康維持に役立つだけでなく、満腹感も続くので食欲のコントロールにもおすすめです。

(6) 健康的な体を作る|たんぱく質

そば湯は筋肉の成長や修復に欠かせないたんぱく質も豊富です。良質な植物性たんぱく質はダイエットにも効果的です。そば湯に含まれるたんぱく質は吸収されやすいため効果的に良質なたんぱく質を取り込むことができます。

こちらも合わせてご覧ください
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3.そば湯の飲み方

そば湯は様々な方法で楽しむことができます。

  • そのまま飲む
  • そばつゆで割って飲む
  • そば湯のおすすめアレンジ

(1)そのまま飲む

伝統的な飲み方といえば、そばを食べ終わった後に湯呑み一杯程度のそば湯をいただく飲み方です。何も加えずにそのまま飲むため、そば湯に溶けだしたそばの風味や味わいをじっくり楽しむことができます。

(2)そばつゆで割って飲む

一般的な飲み方は、そばを食べた後に残ったそばつゆをそば湯で割って飲む方法です。そばの風味とそばつゆのおだしが互いに引き立て合い、まろやかな味を楽しめます。

(3)そば湯のおすすめアレンジ

トッピングをそば湯に加えることで、そばとトッピング素材の風味と食感を同時に楽しむことができます。

  • 刻んだ梅干しを入れる
  • 刻みネギとゴマ、しょうがを入れる
  • 刻んだ大葉を入れる
  • 刻んだ海苔を入れる

トッピングを加えることで風味や味わいがアップするだけでなく、そばだけでは不足する栄養をトッピングの食材で補うことで更に健康効果・美容効果もアップします。色々試して自分だけのオリジナルそば湯アレンジを見つけてみてはいかがでしょうか。

4.そば湯を飲む際の注意点

そばの栄養がたっぷり入ったおいしいそば湯ですが、飲む際にはいくつか注意点があります。健康・美容を損なうことのないよう、以下の2点に気を付けておいしくそば湯を頂きましょう。

  • 大量に飲まない
  • そば湯はそばの後に飲む

(1)大量に飲まない

そば湯は食後のコップ1杯程度が適量です。おいしいからといって大量に飲みすぎないように気を付けましょう。特にそばつゆと一緒に飲む場合、そばつゆのカロリーや塩分・糖分の摂取量が多くなってしまうので注意が必要です。

(2)そば湯はそばの後に飲む

そば湯はそばを頂いた後に飲みましょう。そばの後にそば湯を飲むことには、食事を締めくくる役割もあります。また、そば湯には消化を助けて血行を促進する効果もあるので、あまり間を置かずに飲むのが良いでしょう。また、冷めたそば湯は風味が失われて味が落ちるだけでなく、おなかを冷やしてしまうこともあります。そば湯は提供された際に温かいうちに飲むのがおすすめです。

そば湯もおいしい有喜屋で極上のそばをお楽しみください

この記事では、そば湯が広く飲まれるようになった経緯・歴史と合わせて、そば湯の頂き方やアレンジ、注意点をご紹介しました。

有喜屋では京都ならではの趣向を凝らした四季折々のそば料理を多数ご用意しています。職人が丹精込めて打ったそばを食べた後、そば湯が食後に飲まれるようになった経緯や含まれる栄養に想いを馳せつつ飲むそば湯は、さらに味わい深いものとなることでしょう。ぜひ、有喜屋のそばやそば湯のおいしさを楽しみいただき、ご賞味ください。