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そばの季節はいつ?新そばの時期や普通のそばとの違いを解説!

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有喜屋 三代目店主

三嶋吉晴

有喜屋(うきや)三代目店主。有喜屋は1929年 京都先斗町に創業した本格手打ちそばと蕎麦料理を提供するそば屋です。 最年少で京都府優秀技能者表彰「京都府の現代の名工」を受彰。 手打そば職人としては全国で初となる「卓越技能章」を厚生労働大臣より受彰。 天皇陛下から授与される褒章である、「黄綬褒章」を拝受。

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「そばの旬ってあるの?」
「新そばって普通のそばとどう違うの?」

そばには旬があるのをご存知でしょうか。「新そば」と呼ばれる旬に収穫されたそばは、多くのそば愛好家のなかで、季節の味覚として人気があります。この記事では、新そばの定義や特徴、普通のそばとの違い、そして新そばを最大限に楽しむためのポイントについて詳しく解説します。

1. 新そばの定義とは?

新そばとは、一般的に収穫されてから1〜2カ月以内のそばの実で作られたそばを指します。しかし、新そばの定義は明確に定められたものではないため、地域や時期によって新そばの解釈が異なる場合もあります。例えば、秋に収穫したそばに限定して新そばと呼ぶ地域もあります。また、夏に収穫される新そばもあり、これらは「夏新そば」と呼ばれることもあります。

  • 秋そば(秋新そば)
  • 夏そば(夏新そば)
  • 地域によるそばの収穫時期の違い

(1)秋そば(秋新そば)

秋そば(秋新そば)は、そばの中でも最も香り高く、深い味わいが特徴です。多くの地域で10〜11月頃に収穫されるこのそばは、一般的に「新そば」と呼ばれ、そばの旬として広く認知されています。

秋そばの栽培には特殊な環境条件が必要です。昼夜の寒暖差が10°C以上ある環境で育つことが理想的とされ、この温度差がそばの風味と栄養価を高めると言われています。また、最高気温が25°C以下の条件が適しており、これより高温になると生育に悪影響を及ぼす可能性があります。

栽培スケジュールとしては、通常7〜8月に種をまき、10〜12月に収穫します。この時期に収穫されるそばは、秋の涼しい気候と豊かな日照を受けて育つため、特に風味豊かになります。

(2)夏そば(夏新そば)

夏そば(夏新そば)は、近年そば愛好家や農家の間で注目を集めている新しい傾向のそばです。従来、そばといえば秋の収穫が一般的でしたが、夏そばの登場により、年に2回新そばを楽しむことができるようになりました。

夏そばの最大の特徴は、日長反応(光に対する反応)が夏向きの品種を使用していることです。通常のそばは日が短くなる秋に開花する性質がありますが、夏そばは日が長い夏でも開花・結実する品種が開発されています。例えば「春のいぶき」という品種が夏そばの代表的な品種として知られています。栽培スケジュールは、4〜5月に種をまき、7〜8月に収穫します。この時期は気温が高く、そばの生育に適した環境ではありませんが、品種改良により夏の暑さに耐えられるそばが作られるようになりました。

かつては「夏のそばは犬も喰わない」というほど評価が低かった夏そばですが、長年の品種改良と栽培技術の向上により、現在では秋そばに劣らない魅力を持つようになりました。特に、夏そばの清涼感のある味わいは、暑い季節に食欲が落ちがちな時期にも楽しめる点で高く評価されています。また、夏そばは太陽の恵みをたっぷりと受けて育つため、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、夏バテ防止にも効果があるとされています。

(3)地域によるそばの収穫時期の違い

日本は南北に長い国土を持つため、地域によってもそばの収穫時期が異なります。例えば、戸隠(長野県)は、そばの名産地として知られています。ここでは年に2回そばを収穫する二期作が行われています。夏そばの収穫時期は7月頃で、秋そばの収穫時期は10月頃となっています。

しかし、北海道ではそばの収穫時期は他の地域よりも遅くなる傾向があります。日本の最北に位置し、寒冷な気候が特徴である北海道では主に夏そばが栽培され、その収穫時期は8月下旬から9月上旬にかけてです。北海道のそばは寒暖の差が大きい環境で育つため、香り高く、味わい深いそばができるとされています。

また、南日本の温暖な地域では、気候を活かして早い時期からそばの収穫が可能です。例えば、鹿児島県の志布志市では、6月30日に夏そばを食べる習慣を広めようとしています。このように、日本各地でそれぞれの気候や地形を活かしたそば栽培が行われており、その結果として収穫時期にも違いが生まれています。

2. 新そばと普通のそばとの違い|新そばはなぜ美味しいのか?

新そばと普通のそばの主な違いは、以下の点にあります。

特徴 新そば 普通のそば
鮮度 収穫後1〜2ヶ月以内の
新鮮なそば粉を使用
収穫後長期間経過したそば粉を使用
香り 強い香ばしい香り 比較的穏やかな香り
味わい 甘みと旨味が強く、
そばの風味が濃厚
落ち着いた味わい
淡い緑色や青みがかった色 やや褐色がかった色
食感 コシが強く、歯ごたえがある 比較的柔らかい食感
栄養価 栄養素の損失が少ない 保存期間に応じて栄養価が低下

3. 新そばを楽しむためのポイントを解説

新そばを最大限楽しむためには以下のようなポイントを実践してみましょう。

  • シンプルな調理で楽しむ
  • つゆの選び方に注意する
  • 季節の薬味を添える

(1)シンプルな調理で楽しむ

新そばの魅力を最大限に引き出すためには、その風味を活かしたシンプルな調理法が最適です。特におすすめなのが、ざるそばやもりそばといった、そばそのものの味わいを楽しむ調理法です。新そばの最大の特徴である香ばしい香りと深い味わいを直接感じることができるためです。

また、調理法がシンプルであればそばのコシや歯ごたえを際立たせることができ、茹でた後の食感が非常に良くなり、噛むたびにそばの旨みが口の中に広がります。このように、シンプルな調理法を選ぶことで、新そばの持つ本来の魅力を存分に楽しむことができます。

(2)つゆの選び方に注意する

新そばを最大限に楽しむためには、つゆの選び方が非常に重要です。新そばの香りを引き立てるため、強すぎない味のつゆを選びましょう。濃厚なつゆは新そばの繊細な風味を覆い隠してしまう可能性があります。

(3)季節の薬味を添える

新そばの楽しみ方をさらに広げるには、季節に合わせた薬味を添えることが重要です。季節の薬味はそばの風味を引き立てるだけでなく、食事に季節感を楽しむことができます。秋そばには紅葉おろしや柚子、ねぎなどの薬味がおすすめです。また、夏そばには清涼感を楽しめるように、青じそやみょうが、大葉といった薬味との相性が良いです。

また、薬味を選ぶ際には新鮮なものを選ぶことで、その香りと風味を最大限に引き出すことができます。また、彩り豊かな薬味を添えることで、見た目も美しくすることができ、味覚だけでなく視覚的にも季節感を楽しむことができます。

有喜屋の季節メニューもご賞味ください

有喜屋では、四季折々の風情を感じながらお食事を楽しんでいただけるよう、季節に応じたメニューを取り揃えております。例えば、夏の暑い日にはさっぱりとした味わいが特徴の「冷し生ゆばそば」や、鮮度の良い「あゆそば」をご用意しています。

また、冬の寒い季節には、体の芯から温まる「鳥なんばそば」や、甘辛い味わいが魅力の「にしんそば」をお楽しみいただけます。これらの温かいそばは、寒い日にこそ味わいたい、心温まる一杯です。

その他にも、その季節ならではの素材を活かした特別なメニューを多数ご用意しております。ぜひ、有喜屋の季節の味わいをお楽しみいただき、ご賞味ください。お客様のご来店を心よりお待ちしております。