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年越しそばの意味は?いつ食べるのが正しい?由来や歴史、注意点を解説
この記事の監修者
有喜屋 三代目店主
三嶋吉晴
有喜屋(うきや)三代目店主。有喜屋は1929年 京都先斗町に創業した本格手打ちそばと蕎麦料理を提供するそば屋です。 最年少で京都府優秀技能者表彰「京都府の現代の名工」を受彰。 手打そば職人としては全国で初となる「卓越技能章」を厚生労働大臣より受彰。 天皇陛下から授与される褒章である、「黄綬褒章」を拝受。
「年越しそばはいつ食べるの?」
「年越しそばを食べる理由や由来は?」
大晦日の風物詩ともいえる年越しそばですが、詳しいことについて実はあまりよく知らないという方も意外と多いです。
そこでこの記事では、年越しそばを食べるタイミングやその由来、正しい食べ方などを解説します。年越しそばの正しい知識を身につけることで、さらに意味のあるものとなることでしょう。
目次
1. 年越しそばを食べるタイミング
年越しそばを食べる正確な時間は明確に決められていません。大晦日(12月31日)の1日の中であれば、好きな時間帯に食べることができます。
一般的には、大晦日恒例のテレビ番組を見ながら夕食として食べるという方や、除夜の鐘を聞きながら夜食として食べるという方など夜に食べる方が多いようです。その一方で、大掃除の合間にささっと昼食として食べるという方や、朝のうちに食べてお正月の準備をするという方も。年越しそばを食べるタイミングは様々ですが、実はどれも正解です。
2. 年越しそばの由来と歴史|なぜ食べるのか?
ご存知の通り、年越しそばとは大晦日に縁起を担いでそばを食べる風習のことです。しかし、なぜ大晦日にうどんや白飯ではなく、そばを食べるようになったのでしょうか。
ここでは、年越しそばの由来や年越しそばに関連する古い風習について解説します。
(1)年越しそばの由来
年越しそばの由来にはいくつかの説があります。
- 厄落とし
- 長寿祈願
- 家族円満
- 金運アップ
- デトックス
最も広く知られているのが、そばの切れやすい特徴から「この一年で起こった厄災や苦労を切り捨てて、翌年に持ち越さない」ための厄落としという説です。他にも、細く長いそばの形状から「細く長く生きる」と長寿を願ったものであるとする説や、家族との縁が長く続くことを願ったものであるという説もあります。
さらに、金銀細工師が散らかった金粉を集めるのに、そば粉を餅状にこねたそばがきを使ったことから金運アップの縁起物として食べるようになったという説、そばの実が五臓の毒を取ると信じられていたことから毒落としとして食べるようになったという説などもあります。いずれにしても、年越しそばは「健やかに幸せに豊かに来年も暮らせるように」との願いから生まれたものであることがわかります。
(2)年越しそばの歴史|三十日そば(晦日そば)
年越しそばの風習は江戸時代に始まったと言われています。月の満ち欠けで暦を決める旧暦では、月が隠れる三十日目を「晦(みそか)」と呼んでいました。この日にそばを食べることで悪縁を断ち切り、新しい月を気分よく迎えようと毎月末のゲン担ぎの風習として誕生したのが、三十日そば(晦日そば)です。
当時はゲン担ぎだけでなく、毎月末にそばを食べながら、自分の行動や生活を振り返って翌月の目標を立てたり、節目を意識して心をリセットしたりするなど、日々をよりよく過ごすための習慣としても取り入れられていました。
しかし、明治時代に旧暦から新暦に変わったことで「晦日そば」の風習は徐々に失われていきました、しかし、1年を締めくくる12月の晦日の「大晦日」だけは年越しそばとして現在も引き継がれています。
3. 年越しそばの正しい食べ方はあるの?注意点を解説
年越しそばの由来や歴史を踏まえた上で、正しい食べ方についても理解しておきましょう。正しい食べ方というものは特にありませんが、年越しそばは縁起物ですのでいくつか注意点があります。
- 年をまたがず大晦日のうちに食べる
- 残さない
- 1本を切らずに食べる
(1)年をまたがず大晦日のうちに食べきる
年越しそばは、必ず大晦日のうちに食べきってしまいましょう。年越しそばの由来である「悪縁や厄災を次の年に持ち越さない」ためにも、除夜の鐘が鳴り終わる前には全部食べきることが重要です。
(2)残さない
年越しそばは決して残さないことも重要なポイントです。年越しそばを残してしまうと「一年の幸せが逃げる」「新しい年に金運に恵まれずに苦労する」と言われています。しっかり食べきれる量を作り、おいしく残さずいただきましょう。
(3)1本を切らずに食べる
年越しそばは、1本のそばを切らずに食べるようにしましょう。細く長いそばは縁と深い関係があります。より良い縁を断ち切らないように、嚙み切ることなく1本を口に含んでそのまま食べるようにしましょう。
4. 年越しそばと一緒に食べると縁起が良いと言われている食材
年越しそばでさらにゲンを担ぐために、以下の縁起の良い食材と一緒に食べるのもおすすめです。
- ネギ:年の苦労をねぎらう・邪気を祓う
- ゆず:邪気を祓う
- 油揚げ:お稲荷様の好物=商売繁盛・五穀豊穣・家内安全
- 海老:長寿のシンボル
- 紅白かまぼこ:紅=めでたい、白=清潔
- 春菊:旬の食材=繁栄
年越しそばと一緒に食べることでそばのおいしさが引き立つだけでなく、彩りも良くなってさらに美味しくいただけることでしょう。
5. 各地域で食べられる年越しそばを紹介
最後に、各地域で食べられている年越しそばについてもご紹介します。個性的な年越しそばは、その地方の歴史や文化を大きく反映したものです。ここでは特に有名な以下のそばを紹介します。
- 京都府・北海道のにしんそば
- 島根県の釜揚げそば
- 岩手県のわんこそば
- 福井県の越前おろしそば
- 新潟県のへぎそば
(1)京都府・北海道のにしんそば
にしんそばは、かけそばにニシンの甘露煮を乗せた年越しそばです。ニシンの名産地である北海道だけでなく、京都でも身欠きニシンを使った「にしんそば」が名物。現在でも人気となっています。京都のにしんそばは上品な薄口のだし、北海道のにしんそばは関東風の濃口醤油を使った味付けが一般的です。
ちなみに有喜屋でも、にしんそばを提供しています。年越しの際にはぜひ有喜屋のにしんそばをご賞味ください。
にしんそばについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
京都名物『にしんそば』とは?発祥や京都で生まれた理由、美味しい食べ方を紹介!
(2)島根県の釜揚げそば
割子(わりご)そばで知られる島根県では、茹でたそばをゆで汁と一緒によそい、甘辛いそばつゆをかけて食べる釜揚げそばが有名です。トッピングに鰹節やネギ、海苔をかけ、アツアツの状態でいただきます。栄養たっぷりなそば湯と一緒にいただくことで健康や美容にも良いそばとなっています。
割子そばについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
割子そばの読み方とは?出雲そばとの違いや食べ方も紹介!
(3)岩手県のわんこそば
岩手県では、日本三大そばのひとつであるわんこそばが有名です。年齢の数と同じ杯数のわんこそばを食べると長生きできるという「年越しわんこ」の習慣がある地域も存在します。
(4)福井県の越前おろしそば
固めのそばに辛味大根をおろしたものを乗せ、たっぷりのネギや鰹節と共に食べるのが、福井県の越前おろしそばです。少々黒っぽくコシのあるそばは非常に食べ応えがあり、辛味大根や薬味との相性も抜群。栄養豊富なそばと消化を促進する大根おろしという組み合わせも健康・美容面で魅力的な年越しそばです。
(5)新潟県のへぎそば
新潟県の魚沼地方発祥のへぎそばは、織物づくりでも使われる海藻の「布海苔(ふのり)」をつなぎに使って作られたそばです。つるりとしたのど越しと、強いコシを持つそばを一口大に丸めて「へぎ」と言われる器の上に盛るのが特徴となっています
今年の年越しそばはぜひ有喜屋でご賞味ください
この記事では、年越しそばを食べるタイミングや正しい食べ方、由来や歴史、日本各地の年越しそばについて解説しました。
有喜屋では、京都定番の年越しそばであるにしんそばや、縁起の良いえびの天ぷらを添えたそばなど、年越しそばにぴったりのメニューでお待ちしています。また、オンラインストアでも、ご自宅用やギフト用の年越しそばに最適なざるそばやかけそば、にしんそばもご用意しています。ぜひ今年は有喜屋のそばで良い年越しを。